空の首をもちかえる


そらを誰も知らない
くぎられている事に慣れたそらは、地平線と水平線で充分なはずであるのに
もっともややこしい方法で
建物といきものの狭間で
なにひとつもみずからを見せれない
てんとう虫の全裸を伺うようにそらがみる
そらのことをだれもが見るのに
そらには逆方向がない背中はない
音声がない熱がない
くもるよといってから曇りたい
そらが見つめられている
そら いちどふさがってみたいそら
いつもふいていないで風
永遠にいろつきのそら
いきものが暴力をふるわれる地面を見るそら
そらはいつも国産

砂利の擦れる良い音 反転

そらの元に行けない建物、生き物 喧嘩させて、そら
飛行機よりも濃い色で飛ぶ
原色の鳥 そらは背景ではない
私たちが空の背景
喧嘩させて、そら
私たちはずっと生き物
ひび割れた壁の
ふたつの点と一本の線に
かわいい動物をみつける弱虫

そらが落とす、青い錠剤を
毎日飲むこと。
それだけしか そら
あなたから聞いたことがない

今日、昨日より
勝手に増やされた新しい薬
完全な遮断

わたしが一生大事にできるもの
それは ひらがなです
あなたをそらと呼びましたなぜかというと
戦いの前には
相手に敬意を払うものらしいから
いつ攻め込んでも一騎打ちなので
そう時間はかからない

でも 誕生日に
それはしない







第三回三文賞 佳作
堺俊明「空の首をもちかえる」

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