血を十九年


血を十九年垂れ流して
肌という肌から血を吹き出して
信じられるだろうか
俺は毎日死ぬような思いで
血を吹き出して倒れている
大袈裟か
お前らに耐えられるのか
俺は文字通り毎日大量の血を流して
心と体にあらゆる種類の痒みを覚え
吹き出る血 爪に詰まった皮膚片
痛みと痒み
痒みと痛みと恍惚を
一遍に感じながら
お前らに一生かけても流せない血を流して
俺はこの十九年間、いや二十二年間
死につづけ生きながらえた
この確固たる事実を踏みしめ
誰にも認められない当たり前の偉業を
心と体の異形を魂に変換し
俺はいとも簡単に熟していける
秩序の中で人に愛されていく
俺の存在は偉業であり
俺は永遠に異形なのだ







第四回三文賞 特別賞
奥畑梨奈枝「血を十九年」

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