微睡みの間断で
どうしても斜陽を浴びたかった幾多もの産毛に
天体のハルモニアが児童の嘘と一緒に溶け込んだ
ほら、過去に起こった酷くちっぽけな出来事が
僕らの待ち望んだ詩人の安い物語で五月雨になる
一度も諦めなかった強い瞳がその役目を終えて
もう、二度と昨日の言葉に怯えなくて済むんだよ
やっと咲いた紫陽花がこれより枯れないように
浅い浅い微睡みに君が落ちてる間断に出かけるね
澄んだ夜の底で目が覚めても寂しくないように
蒼い僕こそがカーテン向こうの灼熱に火を焼べる
もしも呆れるぐらいに輝く海原の渦に溺れたら
二人で流した天の川の渡船場で、また手を繋ごう
第五回三文賞 名誉賞
石川史夫「微睡みの間断で」