カムパネルラの夜


ココアをバターナイフで混ぜる雑さで夜は上昇する。
全てが ようやく とも呼べる一瞬の内に終わった部屋では寝息の余韻が高速回転で汽笛へと姿を変えた。「キスで目覚められる程度の命になりたかった」

アイスクリームを水で洗うとエッチな感触なんだよ。ナイショだよ。(人の顔が女性器の形に似てるって事も)
Twinkill×Twinkill★相打ちのすたー★成層圏に引っかき傷
オリオン座を撃ち抜いたニ発の流星に君の絶望を願った。優しい人は被害者にしかなり得ず、そうして君は11の夏にスカートを赤く染められ空っぽの子宮に罰をうけたのだったそれなのに。
微笑まないで。肯わないで。母/ニ/ナドナ/ラナ/イ/デ/!!!/この孤独を許さない世界を許さない、と花弁を食んでみせて。墜落する二つ星は別々の方向へ燃え尽きた。(今度一緒に落ちていけるなら、しっかりと互いの肘をつかんでいよう)

───幾億光年を駆けぬけて願いは叶えられる。
それは粉ココアが沈殿するより早く。

私の言葉で一つでも泣いてくれれば良いのに。

何者にでもなれるわけじゃないのに何者かにならなくちゃいけない終点へと胎児の拍手に急かされて、ついに踏み越えた先は すていしょん。
あぁ、日が暮れる。帰らなくては。いや、帰れない、帰ってはいけない。明るい内に家を見つけられなかったからには、定期券の外へとマスカラを伸ばす旅人になるのだ。
『どうか どうか』
別れ際に振り返らない以外の優しさを教えてください。歓声に似た銃声の恋文に似た憎しみのこの星の自転に干からびたミミズに水をかける祈りの声がする。そこらじゅうが痛いよ

言葉より本当のものを抱えて君は朝に沈む。
どこまでもどこまでも一人で行こう。飲み残されたココアの最後の一滴が蒸発するのを見届ける間に、君が流すことなく亡くした涙は私に還ってくる。
もう二度と、美しくは死ねない私達の最後の夜に手向ける花を。死を、詩を越える言葉だけが骨になる。

「銀河鉄道に乗り遅れたのなら、歩いてきて」







第十回三文賞 佳作
荒木凪瑳「カムパネルラの夜」

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