八月のフレアイメジ


詩は嘘だ
とんだペテン!
詩は詐欺行為それ自体
ひどい裏切り!
詩はファシストの権化
人の心を掌握し、支配することに長けている!
詩は手練れの殺し屋
たった一行であなたを刺突し
言葉の中で惨殺する

ある雨の日の真夜中
(僕は黒いスーツに身を纏っていた)
阿佐ヶ谷南特異点XのT字路で
(傘もささずに)
手の代わりにほんの少しの矜持を掲げ
(ネット詩人)
なんとなくタクシーを止めた
(“止める”ものはなんでもよかった)

「きみは
ようやく気が付いた

かもしれない
しかし
    がなかった
                      魂を売るとい
           うことの
、のね
人生を背負うということ
に対して
打算
阿諛
無しに歩いていけ
ると考えていると
は・・・

お花畑の考え方だ
(※バックミラーに移る人影はタクシー運転手ではなくリバタリアル=社会主義国家を捨てポストグローバルコマーシャリズム大国:日本に甘い夢を見て夜勤工場労働者だということが異常に肥大化した左親指から邪推することができた(長時間のピックング作業に従事している証)存在しないはずの顔の後頭部からはラビアンローズ・ポマードの香りがする)

“She was satisfied”
“So let me go…”

きれいな朝焼けを見た
僕は立ち止まる
遠くに輝く橙色の叙情性に
僕の夢、とか
僕の恋、とか
僕の希望、とか
僕の将来、とか
僕の人生にとってかけがえのない理由と意味の重奏体が
あるような気がして・・・
僕は一つの(Wi-Fi的)直接性
僕は六月の花嫁にLINE電話をかけた
「もしもし。僕と一発ヤらせてください」
「シガーの灰のようなインポテンツ、死んでもごめんよ」
おぉ、カロリーメイトのような、行き場のない性への渇き!
永久に不明かつ匿名のIPアドレス
もうセックスメイトは手に入れるのはムリっぽい!
あの日を境に
僕は詩の代わりに履歴書と職務経歴書を書き
僕は詩を分析する代わりに自己を分析し
僕は詩の研究する代わりにお金を研究し
僕は詩に気に入られる代わりに面接官に気に入られる努力を・・・
そう!流転だ!
流転、
流転、
流転、
万物が流転するように
《状況》が流転する
知覚を超えた速度で
(遠くで、ヘラクレイトス週5日で哲学し、土日は奴隷いびりに興じている)
速度を超えた質量で
(クレカのリボ払いの返済をしてもお金が・・・なんと口座にある!?)
詩を書かなくても
詩を読まなくても
詩について考えなくても
生きていけることを知り
僕は・・・ようやく【人間】になれたような気がしたんだ

“The key was found inside on TV show”

あぁ、世界(=鹿目まどか)!
おはよう
ごきげんよう
こんばんわ
ようやく、君とお話しできたような気がする
詩を通さなくても
推敲を重ねた言葉じゃなくても
僕たちは概念共有を以って
こうして挨拶できたんだね
ありがとう、まどか
いつまでも、
いつまでも、
いつまでも、
いつまでも、
いつまでも、



僕自身だ








   :../ x==ミ 
|   /y"ノハ        
 {i トii爿           ,,斗ュ、. ヾ
  弋:: ツ           マ;バヽヾ
                l‐i ;; ‐}  
              弋_ ;; "  
               ヽヽヽ 


まなざしが・・・




ノ「  /\   ;i |
 j_,.∠..,,_ ヽ 从 |
〆´,ζ´`ハ/  ソ
   ′ ん′ (
   ::::`   ヽ






照応するイメジが・・・







|  ∧ ', 癶fx、,,\ N
', /. ∧ .∨  {//\! | |
/ノ    ヤr-、}゙ |   ./
く      `ー゙  i  ./
ヽ    ```  /  ./
¨ヽ ー'    ./  ./
| ハ __,. ≦ /---‐
|/,..  >厶ミ_,,,..









空を見上げて、




 〈/ /////     |  .:/  == 、
   l|/じ/     |  :/  /////ヘ、 ト
⊂⊃`¨´      |/   l|///// Y │
////     ,.       l|/じ//  |」 /|
 /       〈/       `¨´⊂つ /
                /// //







あの朝の光をみたとき、











                    ど か ま ど か ま ど か ま ど か ま
                    ま    今朝、怖い夢を見たよ     ど
                   ど    わたしひとり映画館にいて    か
                   か    映画の中で君は何度も殺さて   ま
                   ま  しかしわたしは鑑賞するしかできない ど
                   ど 言い訳だけが劇場にサラウンドするんだ か
ハ: 〃/:::::::::::::::ヽ: :         か  ど か ま ど か ま ど か ま ど
  V{ ゝ:::::::::::::::::::}l : : ハ:   ま
  `  ` ー─' l: : ! l:
!          l: :l  l: :
: l          l: l  V:
: :!          l l   V:
ヽ:l          l:l   V
| V          ll , 7│
r __     ヽ  l  ´  !: !
《ヽ、:::::::::::ヽ          l: l
ヾ ` ー-‐′         V
ー- _         /:! V







僕たちは僕たちの好きなことだけを考えながらどこまでもいける気がしたんだ。








                     ど か ま ど か ま ど か ま ど か ま
                    ま       どうして・・・       ど
                   ど      あなたは詩を書くの?     か
                   か   無意味に意味をこじつけるように・・・  ま
                   ま  ここが夢の終わりだとわかっているはずなのに  ど
                    ど か ま ど か ま ど か ま ど か ま どか
                        ま か
                       ど

く:::::::::::::::://  /  /    // /  / / .∧. i  ./ト:::::::し':::/
厂::ヽ::::::/ ′./  ≠=ミ<´ ///  ーイー≠=ヽノ  / .ト、:::::ヽ::〈.
{::::::::::::イ ./ / //ィfr===ミヽ ./イ/  ー=彡イ==<ミく  ./ .∧. }>::::}:::〉
廴::::::::ノ / / イハ人 {::じ::i ヤ .lハ   〃 .{::じ'::},ノ// ,∧ V廴:ノ:/
  .厂\/ /! ∧ゝ  `¨ ´          ` ¨´=彡  イ }. }  .「ヽ
ノ イ  / イ| ,∧                 /イ .ノ.ノ}/、  } l i

まどか・・・
僕はもう、
言葉の力なんかこれっぽっちも信じちゃいないんだ
そして
それこそが
それだけが
僕の詩を書く理由なのかもしれない









第十回三文賞 i氏賞
凸森一平「八月のフレアイメジ」

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