睡り
いつめがさめるのか
いつ夢みるのか
霧深い森の
湖水に
舟
浮かべ
身を横たえ
まどろんでいて
いつめがさめるのか
それは物語でなく詩ではなく
いつめがさめるのか
いつ夢みるのか
廃線に沿い
歩いて
汗
ながし
うわのそら
空ばかり仰いで
いつめがさめるのか
それは物語でなく詩ではなく
いつめがさめるのか
いつ夢みるのか
人ごみの中
自分が
誰
なのか
みうしない
ただよい始めて
いつめがさめるのか
それは物語でなく詩ではなく
それは物語でなく詩ではな、く。
第11回三文賞 功労賞
冨樫由美子「睡り」